2021-11-20 黒人受刑者 死刑執行4時間前、恩赦で終身刑に 米、無実主張の黒人受刑者 11/19(金) 11:38配信 872 ジュリアス・ジョーンズ元死刑囚=AP 米南部オクラホマ州で、強盗殺人罪で死刑が確定したものの無実を訴えている黒人のジュリアス・ジョーンズ死刑囚(41)について、スティット知事(共和党)は執行当日の18日、仮釈放なしの終身刑に減刑すると発表した。州の恩赦・仮釈放委員会が、冤罪(えんざい)の可能性がゼロではないなどとして恩赦を勧告。著名人らも死刑回避を訴えていた。執行まで約4時間に迫っていた。 【写真特集】マルコムX暗殺 2人の有罪取り消しへ ジョーンズ元死刑囚は1999年7月、会社役員のポール・ハウエルさん(当時45歳)を射殺し、車を奪ったとして逮捕された。事件当時は「自宅で家族といた」と説明。米メディアによると、赤いバンダナから髪の毛がはみ出ていたとする犯人の目撃情報はジョーンズ元死刑囚の特徴とは違っていた。バンダナと銃は自宅で見つかったが、共謀したとされる男性が事件翌日に泊まりに来ており、弁護側はこの男性が置いていったと主張している。 この男性は「ジョーンズが被害者を撃ち、自分は逃走車の運転手だった」と主張。懲役30年の判決を受けたが、15年服役した後に仮釈放され、死刑が確定したジョーンズ元死刑囚と明暗が分かれた。事件が起きたのは白人が多いエリアで、陪審員12人のうち11人が白人。1人は「(裁判は)時間の無駄だ。刑務所の裏で射殺すればいい」などと発言していたが、解任されずに陪審員にとどまった。 恩赦・仮釈放委員会は今月1日、「(犯人ではない)疑いがあり、究極の刑罰は適用されるべきでない」として仮釈放の可能性のある終身刑にするよう勧告。スティット知事は、二度と恩赦は申請できないとしつつ、仮釈放なしの終身刑に減刑する判断をした。 バイデン政権は7月、連邦レベルでの死刑執行を停止すると発表した。しかし、一部の州レベルでは死刑を執行し続けており、スティット知事も一時停止していた死刑執行を今秋から再開させていた。 ジョーンズ元死刑囚の弁護人は声明で、将来の仮釈放に期待を示しつつ「知事は取り返しがつかなくなる失敗を防いだ」と評価。被害者ハウエルさんの遺族は「知事が難しい決断を迫られていたことは理解できる。決定はジュリアス・ジョーンズ(元死刑囚)の有罪を確認するものだ。彼は私たちの人生、そして彼の家族や友人の人生も変えた」とする声明を発表した。【ニューヨーク隅俊之】